BSCのAMMグアグリゲーター・BSCEXとは
BSCEXは、BSC(Biannce Smart Chain)上で動くDEXです。
主要機能
- SwapX (AMM Agregator)
- Bscex LaunchpoolX
- Bscex DexX (未公開・板取引のDEX)
本記事執筆時点では、AMM Agregator(DEX Agregator)のSwapXとBscex LaunchpoolXが稼働し、BSC上では10位と11位のユーザー数になっています。
※AMM:自動マーケットメーカー、Uniswapに代表される、アルゴリズムによって売買価格が決まる仕組み。複数のユーザーが流動性を供給するLiquidity Providerとなって成立する。ちなみにLiquidity Providerとなって流動性を提供した際に受け取るのがLPトークン。
目次
概要
BSCEXの主要機能を見ていきます。
SwapXは母数が少ないので、評価は難しいですが、OpenOceanに次ぐ2番手のAMM Agregatorです。次項で説明します。
Bscex LaunchpoolXはBinance Launchpoolに似た仕組みで、特定のトークンのペアのLPtokenをPoolに入れることで、別のトークンを獲得することが出来ます。Binance Launchpoolでは主に、新規プロジェクトのトークンをユーザーに配布する手段として使われていますが、Bscex LaunchpoolXでも同様に現在はzSEEDというSowing.Networkのトークンを配布しています。
違いとしてはBinance LaunchpoolではBinanceが発行したトークンをステーキングする形なのに対して、Bscex LaunchpoolXはLPトークンとなっている為、この点は通常のPoolと同じようにも見えます。LaunchpoolXに入れるLPトークンは、BSCEX上のAMMv1というSwapXとは別で、BSCEX独自のAMMにLiquidityを提供することで得られるトークンになっています。尚、LPトークンは1年間ロックされ、その後毎月10%づつ引き出せるようになります。
BSCEXはSwapXによるAMM Agregatorとしての機能を前面に押し出してアピールしていますが、各機能を見ていくと総合型のDEXを志向しているようにも見えます。この辺りは開発途上なので、最終的にどんな形になるかは現時点では分からない格好です。
SwapX
SwapXには「BSCex Aggregating Engine」が組み込まれておりは、BSCのAMMの中で最も流動性の高いAMMを探し出し、ユーザーの注文を最適に分割、マッチング、執行します。BSCex Aggregating Engineは、注文を複数に分割し、それぞれ異なるAMMで執行することで、価格のSlippageのリスクを下げます。
(Slippageは予め指定した指値と実際に約定した価格の差のことを指します)
BSCEXが挙げている事例は下記のようになります。
例えば、2000BUSDをBNBにSwapしたいとします。取引量2000BUSDに対するBakerySwapの価格Slippageは0.2%です。取引量500ドルごとに0.05%のSlippageが発生します。PancakeSwapのSlippageは0.12%で、500ドルの取引量で0.105%のSlippageが発生します。BSCex Aggregating Engineは、2000BUSDを計算し、2つの小さな注文に分割します。1つはPancakeSwapで1363.636BUSDの注文が執行され、もう1つはBakerySwapで636.364BUSDの注文が執行されます。この場合、価格への影響/Slippageの合計は0.097%で、1つのAMMで注文を執行するよりもはるかに低い値になります。
AMM形式で発生するSlippageという価格乖離を最大限抑える形で、複数のAMMに注文を分割して執行する仕組みになっています。
BSCX
BSCEXのネイティブトークンであるBSCXは現在の価格が$12前後です。Binance Smart ChainのBEP-20規格のトークンになります。
全体としては、Farmingの割合が多く、一部がIDOに振り分けられています。
- Total Supply: 9,983,396 BSCX
- Farming: 7,983,396 BSCX
- IDO: 2,000,000 BSCX
Bscex LaunchpoolXでFarmingされたBSCXの内80%が参加者に配布されますが、即獲得出来るのはそのうちの25%で、75%は1年間ロックされた後、ブロック生成毎に継続的に配布されていきます。残りの20%は開発者に配布されますが、これも25%が即配布、75%は1年間ロック後にブロック生成単位で継続配布されます。
その他、BSCXを送金する度に5%Burnする等の仕組みが考えられていますが、これはコミュニティ投票の結果次第になるそうです。
リスク評価
BSCEX自体はVerichains Labによるベトナム企業によるAudit(監査)が為されています。Verichains LabのHP上には著名なプロジェクトのロゴマークも見えますが、実態は不明です。
BSCEX自体のリスクに加え、SwapXでAggregationされるPancakeswapや他の取引所のリスクも抱える事になります。
所感
BSCEXがどうゆう位置づけになっていくのかはまだ分からない状態ですが、BSCのAMM Agregator(DEX Agregator)が比較的規模の小さい各DEXに対して分割して注文することで、Slippage(価格乖離)を防ぐというのは面白い仕組みです。
Ethereumであれば、ガス代に負けてしまう為、このような取り組みが難しいでしょうし、各DEXの規模が大きくなっていくと小規模の注文であれば価格乖離が起きにくくなります。こうなるとEthereum上のDEX Aggrigatorのように最適価格のDEXへ注文を繋いだり、ガストークンを活用するような仕組みで勝負していくことになります。
現在のBSCだからこそ出来るAMM AgregatorとしてのBSCEXの存在は興味深いもので、引き続きこういったアイディアが採用される場面は今後も見られそうです。