今更聞けない「ICOとは?」をわかりやすく解説
COIN JINJAはICO情報サイトなんですが、改めてICOについて説明していこうと思います。
ICOは新しい資金調達の手法として注目されており、成功すると一気に100億円や、これから会社を作るようなチームでも数億円の資金調達が出来る手法として、2017年に入ってから注目を集めています。
ICOはInitial Coin Offeringの略です。
新しい仮想通貨を作る資金を、仮想通貨の発行で調達するクラウドファンディング的な手法です。
分かりやすいように例で説明します。
新しいマリオのゲームを作成する為に、マリオコインを10,000コイン生み出すとします。 1コインが10,000円だとしたら、これをICOして全部販売すると、1億円の資金調達になります。
マリオコインは、完成したゲームの中で使用可能だとします。ICOの時にマリオコインを買わなかった人はゲームの中で必要だと、欲しくなりますよね。そうすると、ICOでマリオコインを購入した人に売って貰う事になります。
完成したマリオのゲームのプレイヤーが増えれば増えるほど、マリオコインを欲しがる人も増えるので、マリオコインの価値が上がります。 (ICOの時に10,000円で買ったマリオコインが50,000円になるかも)
この例の中で、マリオコインを買う人の意図は3つあって、
- 新しいマリオのゲームの制作を応援したい
- 新しいマリオのゲームの中で、マリオコインを使いたい
- 新しいマリオのゲームが流通すると、マリオコインの価値が上がるので、投資したい
となります。
マリオの製作者側からするとクラウドファンディング的に、不特定多数から資金調達が出来ます。そして、買ったコインの価値があがる可能性があるので、応援の意図は無くても投資対象として購入する人もいます。
簡単に言えば、これがICOの仕組みです。
ICOの細かい疑問点について
さっきの例の説明では足りなかった部分について補足していきます。
マリオの製作者側からするとクラウドファンディング的に、不特定多数から資金調達が出来ます。
クラウドファンディング的な要素としては、最低金額を設けられる所があります。例えば、マリオコインがICOで10個しか販売出来なかった場合、調達金額は10万円です。
これだとゲームを開発するには足りないので、(実際には1億円でも足りないかもしれませんが)ゲームが完成しません。そうなると、マリオコインで調達した金額の使い道が無くなってしまいます。
これを防ぐ為に、事前に最低調達金額を設定して、その金額に満たなかった場合には返金するという処置が取られます。
通常、ICOでは「スマートコントラクト」というプログラムが組み込まれており、返金等は自動でプログラムが実行するようになっています。
そうすると、ICOでマリオコインを購入した人に売って貰う事になります。
どうやって売って貰うの?という話になりますが、通常ICOで最低金額に到達したプロジェクトは、仮想通貨取引所での上場を目指します。
つまり、仮想通貨取引所でマリオコインが取り扱われると、売りたい人と買いたい人は、その取引所で売買をすることになります。
逆に言えば、仮想通貨取引所に上場出来ない場合には、売買自体が難しくなってしまいます。なので売買差益目的で購入する場合にはこの仮想通貨取引所に上場出来るかどうかは、とても重要な要素になります。
新しいマリオのゲームを作成する為に、マリオコインを10,000コイン生み出すとします。
1コインが10,000円だとしたら、これをICOして全部販売すると、1億円の資金調達になります。
この例では、10,0000マリオコイン中全ての量をICOで販売していますが、通常は、全量売り出す事はありません。運営元の手元にも何割か残しておいたり、協力者に配布したりします。
このICOで販売しなかった分は、マリオコインの時価総額(マリオコインの値段×コインの総量)が上がっていくと、新たな資金調達の手段ともなりえます。
この要素はスタートアップが製品を成長させ、資金調達を繰り返す要素に似ています。
IPOと比較すると
一般的にはクラウドファンディング的と言われるICOですが、私はやはりIPO的な要素が強いかなと考えています。
先程の説明を図にすると、下記のような形になります。
通常、IPOでは、会社/製品がある程度成長した段階で、株式取引所が上場の可否を判断します。ICOの場合は、このプロセスを逆にして最初に資金調達をしていくというのが特徴です。
全く情報が無い中で、どうやって判断するのか、という話になると、主に3つの情報提供がなされています。
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ホワイトペーパー ICOに関する情報、経緯、技術的な仕様、等が網羅されているシートです。 大抵の場合、このホワイトペーパーがICOにおいて1番重要な情報源になります。
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SNS等での情報発信 ICOの実施前後で、プロジェクトメンバーが自由に質疑応答出来る場をSNSで設けている事が多いです。ユーザーが直接話を出来るという意味で、ICOでは重要な要素となっています。
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プロジェクトメンバーの過去の履歴 プロジェクトメンバーは、LinkedInやfacebookを公開している事が多く、彼らがこれまでどんな経歴を持っているのか確認する事が出来ます。プロジェクト自体が既に製品を持っている場合には、その製品のパフォーマンスを確認する事も出来ます。
ICOに投資したら儲かるの?
この答えは、「分かりません、自己判断でお願いします」としか言えないのですが。(苦笑)
今年に入ってからのICOに流れている資金は下記のようになっており、2017年は総額で4000億円程度になる見込みです。
この数字は、日本のベンチャー投資に流れる資金の総額より大きい(はず)なので、多くの人が注目し始めている事は間違い無いと言えます。
ICOに投資する場合の注意点
実現して欲しいサービスに投資する
当たり前なんですが、実はこれがICOの1番の醍醐味です。
ユーザーであり、サービスの投資側にもなれるという観点です。
このサービスは自分も欲しいし、伸びるだろうと思ったら、初期投資家として参加し、場合によっては大きく投資額を伸ばす可能性があります。
もう少し言えば、株主、従業員、ユーザーの3者の関係性の境界線が微妙に曖昧になっていくのがICOです。
ICOで投資し、その仮想通貨を使うユーザーとなり、自分の資産価値を向上させる為に、ちょっと周りに宣伝する。
新しいビジネスのあり方を早めに体感したいという方は、こういった観点でICOに参加すると新しい発見があるかもしれません。
勿論、上記のようなICOの意味合いをよく理解しているチームのプロジェクトを選ぶ事が重要ですが。
短期での回収は見込まない
少なとも短期的な収益を考えたら、ビットコインに投資している方が、ここ数ヶ月だと有利かもしれません。(大暴落の可能性もありますが)
ICOの場合、最初にトークンセール(仮想通貨の売り出し)に参加してから、仮想通貨取引所に上場するタイミングまでも数ヶ月。実際にサービスが出来るまでに1年。流通するようになるまで更に数年。といったような時間軸を想定する必要があります。
(そうじゃないケースもありますが、理屈上はそうゆうものになります)
仮想通貨投資の第一人者のようになっているイケダハヤトさんも、かなりの数のICOに参加していますが、長期保有前提のようです。
詐欺に気をつける
最も夢の無いICO投資の仕方を伝授すると、
- 上場企業の関連会社が実施するICOに絞る
- VCから資金調達を受けているICOに絞る
- 製品が既に完成していて、ユーザーがいるICOに絞る
です。たぶん、全体の10%前後に絞られてしまうので、無難と言えば無難です。
ただ、本当に「世界を変える」ような革命的なプロジェクトは残りの90%に眠っている可能性が高いので、下記のような判断方法を考えて下さい。
- ホワイトペーパー自体が無いのはアウト
- 創業メンバーのSNSが公開されていないのは怪しい
- 何らかのSNSで積極的に情報公開がなされていないのは怪しい
- アドバイザーの中に業界の著名人がいると少しは安心出来る
- COIN JINJA及び他のICOサイトにも情報が全然無いのは怪しい
- Github等でソースコードが公開されていないのは怪しい
- PRタイムスでプレスリリースが出ているからと言って安心では無い
などですね。
実施する側も大変
投資する側も判断に苦しむICOですが、実は真っ当なチームがICOを実施するのも中々大変です。
- 多くのチームが、製品が出来る前にICOを実施してしまうのも仕方ない部分があって。
- しっかりやろうとすると、かなり大変です。数人〜十数人のチームであれば、1ヶ月間でICOを実施したとしても、準備等含めると、3ヶ月程度の時間は取られてしまいます。
- とてもじゃないが、製品開発と並行してICOを実施するなんて無理だ。(やってしまうと先述したような詐欺と見間違われそうなICOになってしまう)
という側面もあります。
まだまだ実施する側も、投資する側も正攻法がわかっていないICO。 詐欺は勿論根絶していきたいですが、一方で、次のGoogle/facebookになるような面白いプロジェクトやチームをちゃんと引き上げて行ける場にもしていきたいですね。